2017年11月21日は旧暦十月の壬、干立ではシマフサラーという神事を行いました。住民の無病息災を祈願する行事です。
今年は、2つ謎を解明することができました。
この日はまず、鶏の解体から始まります。
鶏の頸を切り、予め用意しておいた注連縄に血を振りかけます。鶏は茹でて羽根を抜き、解体して食べらられる部分と食べられない部分に分けます。今日は食べられない部分を使います。カサンパ(クワズイモの葉)で包み、藁で縛っておきます。 切り倒した芭蕉を5本使い、竹を刺して筏を組んでおきます。
フタデウガンでの神司による祈願がおわったところで、干立に悪霊や厄が入らないよう結界を張ります。 12ある外から集落への入口全ての注連縄を張ります。注連縄には塩とニンニクを結び、霊力をさらにアップさせます。 張り終わったら、浜で焚き火をし、芭蕉の舟に米と酒・水とカサンパに包んだ臓物を載せ、村中の穢れを持ち去ってくれと願いながら、沖に流します。舟はガバランという伝説の島へ流れ着くと言い伝えられています… が、たまにお隣りの祖納に流れ着いて怒られます。
シマフサラーの謎1
れまで、塩とニンニクは小さなビニール袋に入れ、PP紐で注連縄に縛っていました。でも、みんなそれが大嫌い。行事のたびに先輩方に「以前はどうやっていたんですか?」と問いただしてきました。
結局今年もわからず、サニ(ゲットウ)の葉で包み、麻紐で結ぶことにしました。
2015年1月撮影(2014年に取付けたもの)
今年(2017年)のもの
行事が終わった後に最長老を訪ね、もう一度食い下がって聞いてみました。するとあら不思議、思い出してくれました。
塩は少量を紙で包み、ブー(苧麻)の糸で縄に括りつけたそうです。ニンニクは茎の部分を縄に挟み込んで外れないようにした。
シマフサラーの注連縄は、紙垂をつけることはしませんが、等間隔に七・五・三本の藁を繰り返し垂らしてあります。
シマフサラーの謎2
西表で悪霊や厄を祓うアイテムといえばドラ。シチでも村清めで大活躍します。
芭蕉の船を流す儀式に浜へ向かう時、ドラを持ち出してきた者が最長老に「バカタレ」と怒鳴られていました。そう、シマフサラーではドラは使いません。
「あ〜あ、何やってんの…」と見ていたら、最長老が続けて「シマフサラーではキゾを使うんだ!」
何それ、初めて聞くぞ。今までやってないし。でも、まさに怪我の功名です。 チカ(神司)もキゾを使うことは覚えていましたが、誰も名前を思い出すことができません。
行事の後で、最長老に再び尋ねると、いろいろ思い出してくれました。
道の入口に注連縄を張る時、2枚のキゾ(ヒルギシジミ類)の殻を、腹縁側からひっくり返して持ってシンバルのように叩き、カチカチという音で魔物を祓い、これをユートゥパレといったそうです。
来年のシマフサラーではユートゥパレを復活させたいです。